鳩山内閣は安定してきた感じがします。政治家は選挙で鍛えられ、内閣は国会で鍛えられるものだと思いました。ただし故人献金問題はどう見ても鳩山首相の分が悪いですが。
経済情勢に関して議論が昨日の参院予算委員会の最後(質問者:平野達男議員)にありました。日銀副総裁が「二番底になる可能性は薄い」と言い、議員が言下に「そりゃ甘いだろ」の反応をする場面もありました。私は議員の方が正しいと思います。
タクシーのことばっかり考えている人間はマクロ経済もタクシーになぞらえて考えます。タクシーの増車が信用創造です。このアナロジーは業界の人間にとっては極めて分かりやすいと思います。ただし一般の人には何が何だか分からないと思いますが(笑)。
健全な状態では信用創造は適正レベルに保たれています。しかしどこかの国が何らかの名目で過剰な信用創造をするとその国にバブルが発生し、他国が相対的に疲弊します。増車した会社だけが儲かって、その他の会社が大損をし、全体としてはマイナスという状態です。
私が日本経済新聞記者の名刺を持ちマクロ経済を意識せざるをえなくなった中で最初に“大増車”した迷惑な国は日本でした。80年代の土地バブルです。土地は絶対に下がらないというわけのわからない前提に立って、銀行が担保価値の100%の融資をしまくりました。プラザ合意などもあり、円は凶暴なまでに強くなります。日本を売ったらアメリカが3つ買えるというとんでもないところまで日本の地価が暴騰しました。三菱地所がNYのロックフェラーセンターを買ったり、ジュリアナで半裸の女がバカ踊りしていた時代です。
1991年の大蔵省銀行局長の総量規制通達でこのバブルが壊れ、日本は20年にわたる長期不況に入ります。その後に大増車したのが米国であり中国でした。
米国は御存知の通りデリバティブとかいうイカサマを開発して何でもかんでも、サブプライムローンの貸出資産あたりまでエクイティーにし、それに最高格付けを与えて信用創造しました。リーマンショックでこれが壊れた後は非常措置と称して政府と連銀が信用創造しまくっています。なお欧州は米国の尻馬に乗って米国以上のダメージを受け、その後の信用創造にも四苦八苦しているように見えます。
中国は労働力を安く買いたたける社会構造を武器に最初は外国投資を呼びこんでバブルを作りました。リーマンショック後は商品が売れなくなって投資が止まりバブルが崩壊しましたが、国内の商業銀行(あれを商業銀行と言えるなら)にウルトラ過剰融資をさせて信用創造(大増車)し、無理矢理バブルを作っています。どう見ても砂上の楼閣ですが、本質がよく分かってない人に勘違いさせる程度には経済が回っています。
日本はこの間、土地バブルの羹に懲りて膾を吹く状態でした。両隣りの会社が借金してガンガン増車しているのに自社だけ減車している状態です。そりゃ不況になります。本来は同じ比率で増車するべきだし、体力的にも増車できるのに増車しません。
日本がやるべき政策は国債の大量発行です。長期金利1.4%という数字は、まだまだ国債が発行できるという市場からの明確なサインです。ガンガン国債発行して、教育、医療、福祉、環境、農林水産業といったところにカネを流せばいいんです。そしたら雇用が必ず生まれます。
国会の議論で「どうして日本人は消費せずに貯蓄するのか」という質問に鳩山首相は「福祉が不十分だからだ」と答えていました。まあそれもあるのでしょうけど、最大の原因はデフレだからです。インフレにすれば貯金しても目減りするだけなので黙ってても消費者はカネを使います。年率2%程度のマイルドなインフレを目標にするべきです。
政府の立場からすれば、国債なんてものはまともに返すものではなく、インフレにして小さくするものでしょう。言ってみれば緩慢な徳政令です。やろうと思えばそれができるのに、どうしてあんなに国債発行を恐れているのかと思います。そう言えば国会審議で藤井蔵相が高橋是清の言葉を引用していましたが、高橋是清が言いたかったのは上のことだと私は考えています。
日本は政府も中央銀行も主権者国民のコントロール下にあります。政府や中央銀行が暴走しないよう、主権者が手綱を握っているのですから安心感があります。これに対して米国は中央銀行が主権者のコントロールの外にあり、中国に至っては政府自体が国民のコントロールの外にあります。危なっかしいことこの上ありません。日本は国債を発行していい国なんです。
結論から言うと、私は平野達男議員の言う通り、50兆円くらい国債を発行した方がいいと思います。どうせほとんど日本国内で売れます。政府の対内債務はなんとでもなります。国全体として日本は純資産が世界最大のプラスなのですからハイパーインフレになんてなりっこありません。
政府の債務よりも日本人の20代30代の若者の人生設計の方がよほど重大です。こっちは取り返しがつきません。どちらを優先するかは、国民に聞けば明らかだと思います。
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