初乗り290円タクシー、値上げ申請相次ぐ業界に波紋

初乗り290円タクシー、値上げ申請相次ぐ業界に波紋

 福岡市のタクシー会社「ブルーズー」は13日、同市を中心とする都市圏で最も安い「初乗り290円」のタクシーの運行を始める。燃料費高騰により、各地で値上げ申請が相次いでいるだけに、業界に波紋が広がりそうだ。

 「パンダタクシー」の名称で、小型車10台を運行。850メートルまで290円で、その後、1・6キロまでは250メートルごと、1・6キロを過ぎると407メートルごとに80円を加算する。

 九州運輸局によると、福岡都市圏では、初乗り運賃が590円(1・6キロ)で、365メートルごとに80円を加算する料金が主流。初乗り運賃を大幅に引き下げる料金体系は、すでに一部の事業者が導入しているが、パンダタクシーは初乗り、加算運賃とも最安で、1・6キロ乗ると530円となる。

 福岡都市圏では、昨年11月から運賃の値上げを申請する事業者が相次いでいる。2月末までに申請した事業者の車両数が全体の7割を超えると、同局が値上げの妥当性を審査するが、既に73%が申請済み。

 「初乗り290円」登場に他の事業者は危機感を募らせるが、一方で、「業界では、値上げなしでは事業を継続できないという認識が大勢を占めており、290円に追随する動きはすぐには出ないのではないか」(大手タクシー会社)という声もある。(読売新聞)
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 全国的に値上げ申請が出ているこの段階で290円タクシーの申請です。私は常々、吉野家の豚丼(290円)とタクシーの初乗り料金を比較してタクシー料金の高さに暗澹としているのですが、奇しくもその豚丼の値段にあわせてきました。

 突然ですけれど、ポアンカレの三体問題という有名な議論があります。AとBの2つの関係しかない場合には解けますが、それにCが加わって関係が3つになると解けなくなる。カオスに発散するというものです。

 タクシー事業で基本となる数字は、利用者の需要(D)、タクシー乗務員の供給(S)、車両台数(N)、料金(F)の4つだと思います。規制緩和以前はこのうち車両台数(N)と料金(F)が外生変数、つまり事実上の定数として扱うことができました。ということは二体問題であり、解がカオスに発散することはありません。

 ところが規制緩和により、車両台数(N)と料金(F)の2つが内生変数として暴れる世界になってしまいました。三体問題どころではなく四体問題になってしまったのが今のタクシー業界です。

 290円タクシーが出るのは、四体問題の世界では当たり前です。この会社は予想するにタクシー乗務員の供給(S)で行き詰まり、持続可能な経営はできないと思いますが、それなりの期間、業界に混乱をもたらすことでしょう。そして、第二、第三の「290円タクシー」が出ないとは限りません。むしろ出るのが当たり前と考えるべきです。

 タクシー業界はこれまで車両台数(N)を縛る規制強化を求めてきましたが、これはどう見ても既得権益の保護にしか見えないので、実現不可能です。いい加減にあきらめて、次のターゲットを定めるべきではないでしょうか。すなわち、行政による料金(F)の決定です。

 Fが固定すれば、事業者はサービス向上競争と乗務員への待遇向上競争の2面に意識を集中できます。
 利用者からしても、料金がバラバラというのはそれなりにストレスになります。十分に理解を得られると思います。

 料金(F)を変化させるに際して、タクシー行政が考えるべきことはタクシー需給のみとなります。タクシーが足りなければ値上げし、多過ぎて困るようであれば値下げする。現在の値上げ申請で運輸局は各社の原価計算を集めていますが、そんなことをする必要は一切ありません。
 乗務員の待遇等も、事業者の問題として切り離すべきでしょう。行政は、正しい情報を乗務員および乗務員就労希望者に流す機能をどこかに担保すればよいと思います。

ハイテク導入すると利益減る〜NYタクシー運転手が市に反発

ハイテク導入すると利益減る〜NYタクシー運転手が市に反発

 ニューヨークのタクシーの車内に娯楽機能を備えた最新技術を導入する市当局の計画に対し、運転手側が強く反対している。

 ニューヨーク・タイムズによると、同市のタクシー&リムジン委員会(TLC)は、乗客がニュースやスポーツ試合の経過を見られるタッチスクリーン式のTVモニターや、運転の道順を把握できる全地球測位システム(GPS)などの搭載を計画している。運転手には、クレジットやデビットカードが使える領収システムの導入と手数料(料金の3.5%)の負担を求めている。TLCによると、装備導入・運用にかかる経費は3年間で1台2900〜7200ドルと見込まれ、最新設備は2007年末までに計1万3000台のTLC登録「イエローキャブ」に搭載される予定だ。

 しかし、市議会が4日に開いた同計画公聴会では、計画に反対する運転手数十人が傍聴席に陣取った。カード取引の手数料を負担することで収益が下がり、システムが故障した場合、現金の持ち合わせがない乗客から料金が徴収できなくなって市内のタクシー網が混乱する恐れがあるというのが彼らの言い分だ。

 運転手のウィリアム・リンダウアー氏は証言で、「運転手は起業家と同様、独立した請負業者だ」と主張し「レストランにカードを受け入れるよう強制はできない。なのにわれわれは、娯楽まで提供させられるのか」と抗議した。約7000人の運転手が加入するニューヨーク・タクシー労働者同盟では、抗議のストライキを主張する声も上がっている。

 TLCはハイテク装備の導入計画について、04年に労使が26%の料金値上げで妥結した際の交換条件だと説明している。また、GPSは出発および目的地しか記録しないため運転手のプライバシー侵害にはならず、3.5%の手数料も通常よりかなり安いと見ている。
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 ニューヨークのタクシーは、ニューヨーク市のタクシー&リムジン委員会がライセンスを発行して初めて営業可能となります。

 日本のタクシーは「国が総量規制」→「全国一律総量規制撤廃」という道を歩み、その間にある「地方自治体による総量規制」という選択肢を飛ばしてしまいました。しかし世界的にはタクシー行政の主体は自治体であるようです。

 もともと地方によって大きく営業形態が異なるタクシーを、全国一律のルールで縛ることには無理があるという議論は前々からありました。地方分権が進まなかったのは全乗連と国土交通省の共通の利益だったという「解説」も聞きますが、よく分かりません。

 いずれにしろ、タクシー行政は分権化する方が良いと思います。いろんなところでいろんな試みをして、いいものは真似すればいいのです。それが利用者の利益であり、乗務員の利益であり、事業者の利益だと思います。

銀座でタクシーが自由に乗れない

 「銀座で接待するのは嫌だ」という幹事さんの声をよく聞きます。銀座は「タクシー業務適正化特別措置法」により、タクシーが自由に拾えません。決められた乗場まで行き、そこで待って乗ることになります。数万円も使って接待しても、お客さんを寒空の中をタクシー乗場まで歩かせて並ばせたらすべてがだいなしです。

 業界で言うところの「銀座乗禁」は、「これを解除してしまうと銀座が空車のタクシーで埋まる」という理由で存続しています。乗場以外のところでお客さんを乗せると、運転手と会社は処罰されます。

 年末のタクシー会社の朝の点呼では、「銀座でお客さんを降ろして空車になったら、ドアをロックして走らせなさい。停車時、お客さんがドアを開けて乗り込んできたらあなたの責任です」みたいなことが言われます。

 何かが狂っています。乗りたい利用者がいて、乗せたい乗務員がいて、空車のタクシーがあって、それでも乗せられない。乗せたら処罰。それも日本のタクシーの発祥地である銀座でです。

 損をしているのは銀座で商売をしている人もでしょう。こんなことがなければ、もう少し銀座での接待が増えるかもしれないのですから。

 この奇形の制度をなくし、かつ銀座を空車タクシーで埋めない方法はあります。銀座商店街が運営費を出し、東京タクシーセンターがその気になれば簡単なことです。そしてそれは、タクシー乗務員、タクシー会社の質の向上にも資するものになるでしょう。

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