私が業界の名門であるタクシー問題懇談会の事務局長になったのはこのブログを始めた後です。当時の当ブログは「運賃値上げ怪しからん」を連呼していました。よくもまあ、こんな危険分子を中に入れるものだと驚いたことを覚えています。
タク懇において私は「タクシー利用者の利益とタクシー事業者の利益が対立した場合、タクシー利用者側に立つ」と公言してきました。「それが嫌ならいつでも事務局長をクビにしてもらって構わない」という意味です。
その後、どういうわけか私は全乗連(日本タクシー協会)の広報WGの委員などもやるようになりました。業界首脳と意見交換ができるようにもなりました。尊敬できる経営者もたくさんできました。私の宝です。
私は確実にこの業界に愛着を感じています。しかし私の原点は変わりません。私の立脚点は事業者ではなく乗務員でもなく、当然のことながら役人でも政治家でもありません。利用者です。
これだけ大仰な前振りをするのは、歩合給の問題を語るからです。このエントリーを書くにはそれなりの覚悟が要ります。
リース制、歩合給、時間給の違いを表にまとめてみました。
リース制は問題外ですが、歩合給に乗ったタクシー経営というのも誉められたものではありません。原価の7割を占める乗務員人件費が変動費になるわけで、安易な増員増車圧力が内部的に発生します。「台当たり営収が落ちたら増車して利益を確保したがる」という、有名な合成の誤謬です。
これに対し時間給にすれば乗務員は厳選せざるを得ません。世間一般の会社のように損益分岐を下回る営業職(乗務員)には辞めてもらうことになります。新サービスが当たるなどして市場が拡大すれば雇える乗務員数は増え、市場環境が悪化すれば雇っておける乗務員が減ります。公的な増減車メカニズムは要りません。供給過剰対策には「タクシー乗務員地域最低賃金」を協会で決めれば事が足りると思われます。割れたら公表します。
表の3つのモデルは、放置しておくと左へ左へ行きます。左の方が経営者から見て合理的だからです。「タクシー問題」の肝は、実はこの左方遷移ではないかと私は考えています。
リース制なんぞを放置した京都は、普通の会社までどんどんリース制に近い報酬体系になっていると聞きます。ここは禁止しないとダメなところです。多田氏の最大の負の遺産および近畿運輸局の長年のサボタージュの結果でしょう。同じ理屈で歩合給の会社と時間給の会社が競争すれば歩合給の会社が勝ちます。
時間給を定着させるには、制度的にリース制と歩合給を禁止するしかありません。
時間給縛りの世界では、付け待ちばっかの生産性の低い乗務員は減給もしくは解雇となります。同時に、歩合で釣るしか乗務員を働かせる手段を知らない経営者も退出して貰うしかありません。時間給で経営できる有能な経営者のみ、時間給でクビにならずに働ける有能な乗務員のみが、この業界に残れることになります。供給制限や参入規制は撤廃されるでしょう。
さて、これをやった場合、タクシーは、たとえば東京で、消えてなくなってしまうのでしょうか。今ある会社の半分以上は立ちいかなくなるような気もしますが、タクシー自体が消えてなくなることはないと私は思います。時間給に適応した会社が増車するでしょう。ヤマト運輸あたりがドカンと参入するかもしれません。この状況は利用者目線で言えば大ウエルカムとなります。どうみてもタクシーの質が上がるからです。
当然のことですが、タクシー特措法に基く協調減車がきちんと機能すれば、ここまでの劇薬・冒険は必要ないと思います。あまりにも社会的リスクが高すぎます。しかし特措法による減車に対して「総論賛成・各論反対」で実効ある取り組みができず、成果が上がらなければ、次のカードは地方分権、もしくは歩合給禁止くらいしか残っていません。
私個人の考えは地方に分権です。主権者が選挙で選んだ首長や地方議会が主導する、現行の地域協議会より正統性の高い(=公取が文句を言いにくい)枠組みによる強制力のある減車を進める方が良いと思います。しかし国交省の役人は「政府による歩合給禁止」の方を採るでしょうね。確実に。
※ここは減車を成功させるのが得策だとお考えの方はクリックを→BlogRank
タク懇において私は「タクシー利用者の利益とタクシー事業者の利益が対立した場合、タクシー利用者側に立つ」と公言してきました。「それが嫌ならいつでも事務局長をクビにしてもらって構わない」という意味です。
その後、どういうわけか私は全乗連(日本タクシー協会)の広報WGの委員などもやるようになりました。業界首脳と意見交換ができるようにもなりました。尊敬できる経営者もたくさんできました。私の宝です。
私は確実にこの業界に愛着を感じています。しかし私の原点は変わりません。私の立脚点は事業者ではなく乗務員でもなく、当然のことながら役人でも政治家でもありません。利用者です。
これだけ大仰な前振りをするのは、歩合給の問題を語るからです。このエントリーを書くにはそれなりの覚悟が要ります。
リース制、歩合給、時間給の違いを表にまとめてみました。
| | リース制 | 歩合給 | 時間給 |
| 事業者breakeven | 売上ゼロでも儲け | 都内で3万円程度 | 都内で4万円程度 |
| 3コロ乗務員 | 利益の元 | 収支トントン | 会社の損 |
| 3コロ系の解雇圧力 | 皆無 | 弱い | 強い |
| 乗務員の動機付け | カネのみ | カネが大半 | カネ以外の何か |
| 会社経営の難度 | 人を集めるだけ | 比較的楽 | 一般企業並み |
| 法人の存在意義 | 名義貸しリース屋 | 比較的弱い | 強い |
| 供給抑制政策 | 台数規制 | 台数規制 | 最低賃金規制 |
| 参入規制 | 必要 | 必要 | 不要 |
| 法人のシェア変動 | 人為的にやる必要 | 人為的にやる必要 | 市場任せでOK |
| タクシーはなくなるか | その心配なし | その心配なし | ・・・ |
リース制は問題外ですが、歩合給に乗ったタクシー経営というのも誉められたものではありません。原価の7割を占める乗務員人件費が変動費になるわけで、安易な増員増車圧力が内部的に発生します。「台当たり営収が落ちたら増車して利益を確保したがる」という、有名な合成の誤謬です。
これに対し時間給にすれば乗務員は厳選せざるを得ません。世間一般の会社のように損益分岐を下回る営業職(乗務員)には辞めてもらうことになります。新サービスが当たるなどして市場が拡大すれば雇える乗務員数は増え、市場環境が悪化すれば雇っておける乗務員が減ります。公的な増減車メカニズムは要りません。供給過剰対策には「タクシー乗務員地域最低賃金」を協会で決めれば事が足りると思われます。割れたら公表します。
表の3つのモデルは、放置しておくと左へ左へ行きます。左の方が経営者から見て合理的だからです。「タクシー問題」の肝は、実はこの左方遷移ではないかと私は考えています。
リース制なんぞを放置した京都は、普通の会社までどんどんリース制に近い報酬体系になっていると聞きます。ここは禁止しないとダメなところです。多田氏の最大の負の遺産および近畿運輸局の長年のサボタージュの結果でしょう。同じ理屈で歩合給の会社と時間給の会社が競争すれば歩合給の会社が勝ちます。
時間給を定着させるには、制度的にリース制と歩合給を禁止するしかありません。
時間給縛りの世界では、付け待ちばっかの生産性の低い乗務員は減給もしくは解雇となります。同時に、歩合で釣るしか乗務員を働かせる手段を知らない経営者も退出して貰うしかありません。時間給で経営できる有能な経営者のみ、時間給でクビにならずに働ける有能な乗務員のみが、この業界に残れることになります。供給制限や参入規制は撤廃されるでしょう。
さて、これをやった場合、タクシーは、たとえば東京で、消えてなくなってしまうのでしょうか。今ある会社の半分以上は立ちいかなくなるような気もしますが、タクシー自体が消えてなくなることはないと私は思います。時間給に適応した会社が増車するでしょう。ヤマト運輸あたりがドカンと参入するかもしれません。この状況は利用者目線で言えば大ウエルカムとなります。どうみてもタクシーの質が上がるからです。
当然のことですが、タクシー特措法に基く協調減車がきちんと機能すれば、ここまでの劇薬・冒険は必要ないと思います。あまりにも社会的リスクが高すぎます。しかし特措法による減車に対して「総論賛成・各論反対」で実効ある取り組みができず、成果が上がらなければ、次のカードは地方分権、もしくは歩合給禁止くらいしか残っていません。
私個人の考えは地方に分権です。主権者が選挙で選んだ首長や地方議会が主導する、現行の地域協議会より正統性の高い(=公取が文句を言いにくい)枠組みによる強制力のある減車を進める方が良いと思います。しかし国交省の役人は「政府による歩合給禁止」の方を採るでしょうね。確実に。
※ここは減車を成功させるのが得策だとお考えの方はクリックを→BlogRank
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