「弁護士はボンクラでも増やせばいい」…規制改革会議の福井秀夫委員

 政府の規制改革会議の福井秀夫・政策研究大学院大学教授は「ボンクラでも増やせばいい」と言う。「(弁護士の仕事の)9割9分は定型業務。サービスという点では大根、ニンジンと同じ。3000人ではなく、1万2000人に増やせばいい」。
(週刊東洋経済2008.11.22号「設計ミスの司法改革弁護士大増産計画」)


 規制改革会議委員で、国土交通省のタクシー規制改革に反対している福井秀夫政策研究大学院大学教授が、とんでもない発言をしているようです。弁護士さんが怒っているようですが、当たり前です。弁護士と公認会計士の増員問題や医師の偏在の問題はタクシーの供給過剰問題と構造的に近いものがあると私は考えており、当ブログで採り上げます。

 今回の福井発言は以前のエントリーで批判した八田達夫・規制改革会議委員の日経新聞紙上での主張と軌を一にしています。お二人の発言や7月31日の見解を読むと、どうやら規制改革会議は次のように考えているようです。

 「ボンクラでも年金生活者でも何でもいいから人を増やせばいい。人が増えた結果、その分野の職業人の報酬が下がっても構わない。そんなことしたらサービス水準が下がる? 大丈夫。規制緩和すれば優良事業者が新規参入して利用者の選択の余地が増え、競争によりサービス水準は必ず上がる。これは失業者対策にもなる。なおかつ格差は縮小する。規制緩和はとにかく善である。参入障壁や数量規制は既得権益を生むため認めない」…

 規制改革会議さん。だったら大学を全面的に門戸開放したらどうですか? 大学を株式会社並みに届け出で開設可能としましょう。A大学の学生はA大学で単位を取らなければならないという競争制限的な規制は怪しからんので大学間の単位の相互認定は前提ですよね。さらに憲法89条との矛盾が指摘される国の大学への直接助成は止め、代わりにセンター試験に合格した学生に助成金の分配先を任せましょう。教官に学生獲得競争をさせるのです。あなた方が大好きな市場原理ですよ。

 これをやれば経営上の理由から大学教官の報酬は限りなく歩合制に近付くでしょうね。それに伴い教官の絶対数が増え大半の教官の報酬は下がりそうですが、失業者対策にもなりますし仕方ないですよね。皆さんの主張によれば、門戸を広げて自由競争すれば質が良くなるそうですから。

 え? 「そんなことをやったら「優」ばかり出して半分以上休講するインチキ教官ばかりになる」ですって? そういう不良教官は行為規制で排除するべきです。国土交通省のタクシーの規制改革に対してはそう言っていたではありませんか。

 規制改革会議さんは、以上の大学規制緩和、門戸開放を主張してくださいな。それとも自分達の職場だけは「特殊だから例外」ですか?

 あてこすりはこのへんにして冒頭の記事に戻りますが、「大根、ニンジンと同じ」という表現も酷いものです。農作物は農家の汗の結晶であり、この世に二つとないものであると同時に、それ自体が命です。私たちは大根やニンジン、そしてこれを育ててくれた農家やこれを食卓まで運んでくれた流通機構、それを支えるすべての人に感謝して食事をとるべきでしょう。福井氏は農家をボンクラ扱いしているようですが、その歳になっていまだに、役人と大学教授を歴任した自分の方が農家より高等だと勘違いしているとしたら、人間としてレベルが低すぎます。

 この規制改革会議という組織に対して、私は非常に大きな疑問を持ち始めています。そもそもこの組織は、誰に責任を負い、その仕事はどのように外部評価されるのでしょうか。少なくともタクシーに関しては、サービスの質を下げ、サービスの価格を上げました。規制緩和の失敗が遠因となって病気や自殺に追い込まれた乗務員の数、無理な運転を強いられて発生した交通事故の数はいかばかりか。規制改革会議の委員はこの責任を取らないまま、「弁護士はボンクラでもいいから数を増やせ」、「派遣の自由化が格差を縮小した」、「タクシーの規制緩和で消費者利益が向上した」など現実離れしたことを言い続けています。

 この組織を内閣府の中に設置し日本国民の血税を使い続ける合理的な意味がどこにあるのでしょうか。主権者の一人として、政府および国会に伺いたいところです。

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